ゲームサウンドでしか味わえない感覚
ゲーム内のBGM、SEの作成と音演出全般を担当している中で、私が最もやりがいを感じる瞬間は、作成した音楽や効果音が実際にゲームの「ステージ」や「動き」に対して組みこまれ、インタラクティブに機能するのを見たときですね。キャラクターや敵の「動き」ひとつひとつに合わせて効果音を作っていくところが、他の音楽制作では味わえないゲームサウンドならではの面白さや楽しさがありますね。
一緒にゲームを作っているという感覚を大切に
他の企業はどうか分かりませんが、グッド・フィールのサウンドクリエーターは、誰かの指示通りただ機械的に音を作るのではなく、実際にゲームをやってみて、ゲーム全体を十分に理解した上で音を作り上げていくというスタンスです。その分、一切の妥協なく最後までこだわることができますし、プロジェクトメンバーの一員として一緒にゲームを作り上げていくという感覚はとても大きいと思います。ゲームにおいてサウンドが与えるインパクトは、今も昔も非常に大きいと思います。だからこそ、ただ指示されたことだけではなく、チームメンバーの意図をくみ取りつつ最後までクオリティを追求することが大切です。
世の中の変化に柔軟であれ
私がゲームサウンドに興味を持ち始めたのは二十歳を過ぎてからでした。学生時代はバンド活動に没頭しており、小学生のころから現在まで愛してやまないロック音楽や近現代音楽をルーツに、オリジナル作品を多重録音で作る日々を送っていました。しかし、二十歳を過ぎた頃、「マリオ」や「ドラクエ」等のシリーズに出会い、そこに未来を感じたことがゲーム業界を志す動機となりました。それから30年近くこの仕事に従事していますが、ゲームサウンドも時代と共に大きく変化してきました。特に制作手法においては、過去に自分が正解だと思っていたことがそうではなくなっていくケースが多々あります。今思い返してみると、長くこの仕事を続けることができたのは、ある程度物事の変化に柔軟だったからだと感じています。
「魅せる」ゲームサウンドをつくる
実画面に合ったサウンド作りを心掛けるのは当然ですが、それを踏まえた上でさらにその上「いかに魅せるか」を常に意識しています。許される状況ならば、なるべく「普通ではない変なもの」を作りたいです(笑)。だって普通じゃ面白くないじゃないですか。昔から「ちょっと特別なものを作るのが自分たちの仕事」だと思っていて、実際にそういった少し「普通じゃないもの」がゲームに味を加え、より魅力を高めることは多々あります。ただ、これも決して独りよがりではいけません。ゲーム制作というのは非常にたくさんの人が関わっています。当然「音」に関しても、様々な方から意見をいただく機会が多いのですが、そういった意見に対して専門家として頭ごなしに否定したり、頑なになったりせず、結果的にどのように着地するにしてもなるべく多くの人に納得感をもってもらうプロセスを踏むように心がけています。